サルサは「123・567・ 」という8カウントをトレースしながらステップを続け、それをキープすることにより向かい合った男女が前後にしかも高速で動くにも関わらずクラッシュせずに踊り続けられる、そんな巧妙なペアダンスなわけですが、『曲を聴いていて、カウントがわからなくなることがある』 そういう初心・初級者さんの声を良く聞きます。
でも、これって「普段はちゃんと聴こうとしている・聴けている」ということの裏返しでもあり、決して悪いことでは無いんですよ。
“ 動きながら音楽に注意を払っている ” ということですから。
問題は普段からまったく聴こうとしないタイプのダンサー(稀ですけど)、特にリードを行う男性の場合で、おそらく「カウントが突然わからなくなる」という経験すら無いのかもしれない。 普段から聴けていないので、急にロストする(分からなくなる)という感覚(経験)が無い。
(もちろん初心者さんや経験の浅い人は無理もない事であり、ここでは結構長いキャリアなのに踊りながら音楽に注意を払わない人の事を言っています。)
どういう時に「カウントが突然わからなくなる」のか?
それは急に曲調が変わり、かつ技巧的な工夫を凝らした曲の場合、ダンサーはロストしがちです。
もちろん、経験豊富なリーダーであればしっかり合わせ直したり、ロストしたことさえ女性に感じさせないほどシラーッと(笑)ナチュラルにリカバリーしたりします。
そもそも、完全にロスト(わからなくなる)というよりは、“ あれれ・・ずれてしまった ” その程度の感覚でしょうか。
お互いが同じ音楽の波に乗るペアダンス。 両者が共に音楽を聴けていることが重要ですが、とりわけリードを受け持つ男性の “ 音楽をモニタリングする力・感じとる力 ” が大切。
“ ミュージカリティ(音楽性)” の基礎となる部分ですが、
正直、女性(フォロワー側)はタイミングは男性にお任せで一緒に波に乗って行けば良いので、そんなに悩む必要はない。(かも)
やはり、男はそれなりの量の音楽を聴き込む必要がある。
(覚えろという意味ではなく、聴く経験を増やせ・そういう意味です。 なんかね、私もダンスをやるようになってから義務教育の音楽の授業の大切さとか、若い頃から良い音楽に触れ続けることの重要さを痛感してるんですよ。 想像を超えて遥かに重要。音楽体験は。 音感・リズム感というものは運動能力にかなり直結しているんでね。それは老齢になっても響くポイントかもしれない。)
音楽を聴き込む必要性・・
じゃあ、どんな音楽が良いのか?
サルサダンスをやるのだからサルサミュージックが良い、これはその通りなんですが私は「気まぐれダンスログ」の 06.ジャズで聴き取る力を上げる にも書いた通り、
「ジャズ」がとても良いと思っています。耳を鍛えるためには。
ジャズといっても本当にいろいろなスタイルがありますが、まあ、何でも良いです。
お洒落なピアノジャズなんかもおすすめですし、ラテンジャズは非常に良い。
まあ、そうやって聴いて行くうちに耳は肥えて来る。 最初にメロディーや大まかなリズムしか聞こえていなかったものがもう少し深く細かく、『そのパートにおいて主張している楽器』の音などが聞こえてくるようになる。
ではサルサミュージックの場合、具体的にはどんな音?
それはもういろいろです。管楽器だったり弦楽器だったりピアノだったり・・
あらためて「楽器編成」という視点でサルサミュージックを眺めると、
その楽器の多さに驚きますが、特に打楽器。 これがとても多い。
そして、その打楽器群の中で主役級であることが多いのが “ コンガ ” です。 平置きの長いかたちの大きな太鼓なのですが、このコンガ、
ツクパクツクトト ツクパクツクトト
といった打音を奏でることが多い、というかこれが基本です。
カウントで言うと、
ツクパクツクトト ツクパクツクトト
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
という風になります。
同じ強さで叩いているのではなくて、強弱があり、カウント2そしてカウント6が最も強く叩いています。
このコンガのリズムがね・・ 結構大事なんですよ。サルサミュージックを深く理解・感じ取る上で。
(もちろんダンサーならば、123・567・をしっかり把握・身に付けた上での話ですが。)
ただし、
現実のサルサミュージックは多様化しており(欧米のポップスやロック等の影響も受け続けているわけですから。日本のポップスと同じように) こういうコンガのリズムが明快に出ているサルサもあれば、そうでないものもあるわけです。一部のパートだけ明瞭に出たりする場合も多い。
まあ、このコンガ音が浮上して明瞭に聞こえてきたら「せっかく良い波が来たんだから、それに乗らない手はないよ」くらいのスタンスでいてください。
で、このコンガのリズムに着目し、エディー・トーレスが生み出したサルサのステップが、
“ ニューヨークOn2スタイル ” になるわけです。
On2の誕生には、コンガという太鼓が深く関わっているわけですね。
(カリブ海、特にキューバ経由で濃厚なアフリカンリズムが伝わっている、そういう見方は正解です。そのリズムにステップをシンクロさせたわけ。ニューヨークで。)
以下の ↓ 映像をご覧頂ければと思います。
(注:実はOn2にはもう一つ、“ ボールルームOn2 ” というスタイルも存在したのですが、現在On2と言えばほぼ100%、ニューヨークOn2〈ニューヨーク・クラブスタイルOn2、とも呼びます〉こちらの方を指しますのでそういう理解でいてください。)
じゃあ、主役級であることの多いコンガのリズム、
その強拍を大切にしているOn2の方が、より乗れるの? 音楽の波に。
一番強く叩く2と6のビートで前後に足をブレイク(ステップ)するOn2の方が、音楽にシンクロしやすくて、気持ちよく踊れるの?
サルサダンスはOn2で決まり?
そんな疑問が出てきます。
いやいやいや、そんな単純なものじゃございません。
On1スタイルもOn2スタイルもキューバンスタイルも、それぞれが素晴らしいのです。
(コロンビアのカリサルサのようなものも含めて。)
どのスタイルも『強靭なフォーマット』の上に成り立っており、8カウントとして捉えられる音楽であれば、一般的に速いサルサミュージックのスピードを超えるような速さの音楽でない限り、あるいはバラードのような極端に遅い音楽でない限り、合わせて動くことが出来ます。 エレガントに連動出来る、つまり、踊れるのです。
(無理すれば、バラードでも何とか行けます。)
それに、サルサミュージックだけでなく、意外な音楽で気持ちよく踊れたりもします。
これ書くと「邪道だっ」とか言われそうですが私、自宅で踊ってみる時にはサザンオールスターズの某曲でやってみたりします。(デラルスのサルサバージョンとかではなくて。) もちろんサルサミュージックがメインですが、ラテンジャズや一部のジャズでやってみたりもします。
『強靭なフォーマット』って言うけど、いったい何よ? と聞かれそうですが、
フォーマットとは型・形式・構成、といった意味ですが、ここではより深く「しくみ」とか「原理」とか「メカニズム」といった意味を含ませて使ってます。
そう、サルサというダンスは「しくみ」や「原理」「メカニズム」が非常に巧妙かつ強力なのです。
・・ダンスって世の中に出て来た時は「流行りもの」扱いで、かなり短期間で消えていくことが多いです。
そんな中、いつまでも残り続けるものは間違いなく『強靭なフォーマット』を備えています。
サルサもそうですが、スウィング系のダンスも強靭ですね。
サルサはエイトカウント、スウィング系は基本シックスカウントですが。
サルサ ⇒ クイック・クイック・スロー、クイック・クイック・スロー
(1・1・2、1・1・2 で8カウント)
スウィング ⇒ スロー・スロー・クィッククイック
(2・2・1&1 で6カウント)
あとはソーシャルダンスの世界で言えば、アルゼンチンタンゴでしょうか。強靭なやつは。 じわじわ来てますよ。
あ、もちろん、バチャータやメレンゲもそうです。ラテンソーシャル三点セットは間違いなくそう。
『フォーマットが強靭かどうか』 これは、ダンスの生命力と呼んでも良い点で、
生き残りに直結したパワーとも言え、非常に大切です。
それでは、話を元に戻しましょう。
On2が良さげに見えたけど、On1もキューバンもそれぞれ素晴らしく、長所があるらしい。
そんな話でした。
On2は打楽器のコンガの「裏拍」とりわけ2と6の強い打音に合わせて前後にブレイクするスタイルを採用したと・・
おっと、まだ裏拍(うらはく)と表拍(おもてはく)について説明してませんでしたね。
1 ② 3 4 5 ⑥ 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On2
こうなるのですが・・
この表拍・裏拍の解釈はもう一つあって、それは下の方で説明するので
まずは ↑ この把握の仕方でやってみてください。 “ 偶数拍が裏拍 ” という考え方です。
そして、表拍は以下の通り。“ 奇数拍が表拍 ” という考え方です。
① 2 3 4 ⑤ 6 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On1
(〇数字がニュートラルポジション〔=中央・ホームポジション〕からブレイクするステップです。基本は前後方向に。)
さて、コンガの2&6拍目強調のリズムに、すなわち裏拍に合わせてステップする方法がハマることはわかった。(On2のケース)
では、下の表拍に合うのは何? どんな楽器?(On1のケース)
そんな疑問が出て来ると思います。
それは、打楽器で言えば、小さ目の太鼓であるボンゴや金属製のカウベルなどもそうですが、なんと言っても “ ヴォーカル ” ですね。 歌は1拍目でバンと入ることが多い。というかそれがほとんど。
ですから、歌い上げるようなサルサ、ロマンティックなサルサというのはOn1が合いやすいんです。
拍(ビート)に合わせたステップと歌唱がシンクロして来るのでね。
ただ、その辺はダンサーが神経質になる必要はまったく無いですよ。 一つの楽曲、サルサミュージックに対してOn1じゃなきゃ踊れない、On2じゃないと駄目、キューバン限定、なんてことは有り得ない。
合う・合いやすい・似合う、そういうレベルのものだと捉えておいてください。
中上級になったり、あるいはDJだったりすれば、その辺の合う合わない、似合う似合わないは結構感じ取れたりするものですが、ソーシャルダンスのそもそもの目的は組んだ二人で楽しく踊り切る。それだけですから。 かかった音楽をリスペクトしつつ二人が乗れるだけ乗ってしまえば、それで良いのです。
✦✧✦✧✦
それでは、少し整理しておきます。
そもそもサルサダンスにおける「On1」という概念は、音楽のビートの1発目で『カン』と入る、前後左右斜め、どこかへ踏み出す(ブレイクする)そういう概念です。
対して「On2」という概念は、『ん・カン』と入る、すなわち音楽のビートの1発目は自分の直下付近で軽めに踏んで、2発目で入る、前後左右斜め、どこかへ踏み出す(ブレイクする)そういう概念ですね。
1357の “ 奇数拍が表拍 ” という考え方で行けば、LAon1スタイルのステップは「表拍乗り」です。
1と5でブレイクしますから。
2468の “ 偶数拍が裏拍 ” という考え方で行けば、NYon2スタイルのステップは「裏拍乗り」です。
2と6でブレイクしますから。
さて、頭では理解できた。 でも実際に何か聴いてみないとわかんないよ~
という方、正しいです。
まずはビートを感じ取り、8カウントを把握し、
一番大事な表拍であるカウント1、そして同じく一番大事な裏拍であるカウント2、
この辺をきちんと聴き取れないとなかなか前へ進めないんじゃないの?
その通り。 やっぱり、わかりやすい曲で確認したいよね。
でも、サルサビギナーさんや初級者さん向けの表拍・裏拍がわかりやすい曲となると・・
何があるかな?
日本の歌謡曲とかJ-POPだと、なかなか強い裏拍を感じさせるような曲は見つけにくいですね。
(スミマセン。あるような気はするんだけど、今は思い出せない。)
どんな曲が良いのか・・ と思案していて、ピンと来たのが次の名曲。
ボーカルは表拍から入るのに対し、リズムセクションは裏拍でビートを刻み続ける。
その辺を気にしつつ、聴いてみてください。
(1回目は普通に楽しんで聴いてもらって、2回目は12345678を口ずさみながら聴くと理解しやすいかも。 ちょっと速く感じるようだったら12341234でも構わないですよ、この場合。)
September Earth, Wind & Fire
いや、モーリス・ホワイト最高。 アース最高!
どうでしょうか? ヴォーカルが表拍(奇数拍)で入り続け、ヴォーカルがINする前の前奏は別として、リズムセクションは裏拍(偶数拍)のタイミングで一番強いビートを繰り返す・・
その辺が感じ取れたでしょうか?
(ヴォーカルはカウント1できっちり入る事もあれば、ちょっと先行して〈被って〉前の小節の “7&” とか “8” でINしたりもしてます。 その辺の構成(対比・コントラスト)も相まって素晴らしいグルーヴを醸し出してるよね。)
注:ここでは表拍・裏拍を理解して欲しいので分析的な書き方をしていますが、ある程度理解できたら分析なんて離れた方が良いと思う。作曲家は別だけど。 音楽は楽しんで、ダンサーであればその波にひたすら乗ればよいだけ・・ そういう事。
September Uptown (Remix)
本家のコピーだけど、これもイイ。 彼らメチャクチャ歌上手いね。
このグルーヴとソウル、この感じなんだよな。 表面的な部分じゃなくてコアな部分を掴んでいて素晴らしい。(今回のテーマで言えば、裏拍のビートの強さもよくわかりますよね。)
これだけ歌える(そして踊れる)人を揃えるのは至難の技だと思うが・・ 層が厚いんだろうね、きっと。 生で聴いてみたいグループです。
さて、この表拍と裏拍だけど、上で
“ 奇数拍が表拍 ” で“ 偶数拍が裏拍 ” という考え方をまずはして欲しい。
そう書きました。
① 2 3 4 ⑤ 6 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On1
1 ② 3 4 5 ⑥ 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On2
(ちなみに、英語の前置詞 Onって “ 圧力をかけてそこに置く ” みたいな意味ね。)
そして、
この表拍・裏拍の解釈はもう一つあって、それは下の方で説明する
とも書きました。
これからその説明をします。
上の表を一つにまとめてみると、こんな感じですね。
1 2 3 4 5 6 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On1
On2
上で聴いていただいたアース・ウィンド&ファイヤーのセプテンバーも
この表拍タイミングでヴォーカル(歌・メロディー)が進行し、
裏拍タイミングで打楽器系が最も強いリズムを刻んでいる・・
そういう構成になっていました。
ところが、表拍・裏拍の解釈として
こういうの↓ もあるんですね・・
1&2&3&4&5&6&7&8&
表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏
なんかすごい詰まった感じですが・・
12345678といったカウント、8カウントのすき間、その中間にぎっしりと裏拍が存在する
という捉え方です。
このように、二通りの捉え方・考え方があるんですよ。
つまり、「裏拍だね~」と相手が理解しているようでいて、実は異なる把握をしている場合があったりする。
自分は、カウント1の次のカウント2を指して「裏拍」と言ったつもりなのに、相手は1と2の間の “&"
のことだと思っていたりとか、
あるいはその逆、
“&" のタイミングを指したつもりなのに、相手はカウント2だと考えていたとか・・
「裏拍」の捉え方にはこのような2通りの解釈があるので、そのことは頭に入れておいた方が良い。
若干の注意が必要です。
テキストでも確認しておきましょうか。
https://www.hibino.co.jp/glossary/ura.html
それでは、現実的なお話ですが・・
サルサダンサーがどっちで認識すべきかと言えば・・
上です。
やはり、これ ↓ が良いです。
1 2 3 4 5 6 7 8
表 裏 表 裏 表 裏 表 裏
On1
On2
“ 奇数拍が表拍 ” で“ 偶数拍が裏拍 ” という考え方をしていれば、困ることはありません。
サルサを踊るのであれば。
(その前に、『123・567・』が何よりも大事ですからね。その順番を忘れてはいけない。)
ただしですね、基礎が十分に出来上がり、初級から中級へ達しつつあるような女性の場合は
こちらの感覚 ↓ も取り入れて行くと、よりエレガントで格好いいサルセーラに変貌できるかもしれない。
1&2&3&4&5&6&7&8&
表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏
更に言えば、 “&” は隣にある拍の真ん中にあるという理解でOKですが、
どちらかに寄せることも出来る。
たとえば5と6の間にある “&” の裏拍ですが真ん中ではなく、より細かく
5に近いタイミングの&を意識してみる。(5の本当に直後というニュアンス)あるいは、
7と8の間にある “&” の裏拍、これも7に近いタイミングの&を意識してみる。そして、動けるようになるとかなり違って来ると思う。
スタイリングとかターン、あるいは女性特有の足技(具体的にはロンデみたいなやつ)でクオリティが上がって来るかもしれない。 より、“ ダンスしている~!! ” 感じになって来ると思う。
(&を前に寄せるだけでなく、後ろに寄せると良いケースもある)
標準の12345678を正確に把握しその通りにジャストのタイミングで動くべきなんだけど、より高みを目指すならば「溜め」とか「先取り」 みたいな工夫も必要になってくるんですよ。時として。
そのタイミングコントロールにおいて、裏拍(この場合 “&カウント” )の細かい認識が必要・・ そういうことを言ってます。
くどいようですが、最初は『奇数カウントが表拍、偶数カウントが裏拍』という把握で充分ですからね。
ある程度キャリアを積んだら、この詰まった方の把握も取り入れてみたら良い(特に女性。)
そういうことです。
それでは、少し整理しておきます。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
《カウント把握の優先順位》
STEP①
『123・567・』が何よりも大事。 これ外したらサルサは踊れない。男も女も。
正直、これだけでも全然構わないと思う。これを身体に染み込ませる。
STEP②
次に余裕が出てきたら(男女共)
『奇数カウントが表拍、偶数カウントが裏拍』
であることを理解する。 On1とOn2の特性の違いが理解出来、よりサルサを楽しめる。
STEP③
さらに初級を脱して中級にかかるような女性であれば、
1&2&3&4&5&6&7&8&
表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏表裏
の “&カウント” にも注目する。
踊りがより洗練されていく可能性がある。 更に言えば、&を両隣のカウントに寄せることも考えてみる。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
それでは、理解を深めるためのとても良い動画が見つかったので、こちらをご覧ください。
無理に全部見る必要はありません。
理解して欲しいところは冒頭の、0:00~4:12
ホワイトボードの緑とピンクの部分が理解できれば完璧。
それと、12:40~13:09ですね。
その2パートを繰り返し見る方がむしろ良いかも。
それにしても・・ 流石ですね。 とてもわかりやすい優れた解説。
つまり、この動画が指摘している通り、
どうして裏拍というものが2通りの解釈を生み出してしまっているのか? と言えば・・
柱となるビート(拍) をルーズに取って、その間のビートを裏拍とするか、
あるいは、柱となるビートをタイトに取って、埋もれていた “&のタイミング ” を拾い上げて裏拍として認識するか、
このように ルーズとタイト、二つの設定(というかフィーリング)があるため、結果的に2種類の捉え方(把握)が生じているんです。「裏拍」は。
まあ、先ほども書いたように最初は『奇数カウントが表拍、偶数カウントが裏拍』という理解で十分過ぎるくらい十分ですからね。
サルサを踊る分には、つまりペアダンスを踊りながら音楽の波にうまく乗るには『カウント認識がきちんとできる』ことが何より大切で、それプラス、
『奇数カウントが表拍、偶数カウントが裏拍』ということも理解できていれば、
On1(LAon1)とOn2(NYon2)のステップ特性の違いもスッキリわかるし、
ダンスがより洗練されて行く可能性が高くなる・そういうことです。
なんか、予定してたより理屈の多い内容になってしまいましたが、今回はこの辺で・・
え? キューバンを忘れている?
じゃあ、そこを解説。
現在、世界中で踊られているサルサダンスのスタイルは3種類。
その点は何度も説明済みですね。
LAon1(エルエーオンワン) LAスタイル、ロサンゼルススタイルとも。
これは「On1タイミングのサルサダンス」になります。
NYon2(ニューヨークオンツー) ニューヨークスタイル、あるいはニューヨーク・クラブスタイルとも。
こちらは「On2タイミングのサルサダンス」です。
キューバン 単にキューバンと呼ぶことがほとんどで、キューバンスタイルときちんと呼んだり、後は “カッシーノ” と呼ばれる場合もあります。カッシーノはカジノという意味で、キューバのそういう遊戯施設で踊られていた事が由来。
そして、このキューバンだけど
「On1タイミングのサルサダンス」になります。
そう、LAon1とキューバンは8カウントの中のカウント1とカウント5で前後にブレイクする点で同一なんです。 だから相互に移行しやすいとも言える。 動く軌道が前者は直線上、後者が円軌道なので、そこはもちろん戸惑うだろうけど、とにかく足の踏み出し方のタイミングが同一なので、そこは苦労しない。
キューバンを「On1タイミングのサルサダンス」なんて言うと、「キューバンはキューバン、On1じゃないでしょ?」とか言われそうだけど、それはLAon1という “ スタイル ” の問題と混同している。
ここで言っているのは “ スタイル ” の問題ではなくて “ ブレイクする(←踏み出す)タイミング ” の問題です。
たしかに紛らわしい気もするけれど。
ちょっと専門的な分類をしておきましょうか。
LAon1 時間的にはOn1タイミングのブレイク。 空間的には直線上の動き。
NYon2 時間的にはOn2タイミングのブレイク。 空間的には直線上の動き。
キューバン 時間的にはOn1タイミングのブレイク。 空間的には円軌道。
・・ということになります。
だから、時間的 すなわちタイミングで言えば、LAon1とキューバンは同じで、
空間的には直線上を行ったり来たりするLAon1とNYon2は同じ。
そういうことになるんですね。
あ、また理屈の多い内容になってしまった。
・・でも、サルサ始めて日が浅い方とかは疑問点が膨らんで、どうしても『もやもや感』を抱えてしまったりするので、
そういうのの解消に少しでもお役に立てればと・・ そう思いながらいろいろ書いてます。
(スタジオでしか解決できない点も多いんだけどね)
実際「もうちょっと粘ればすごく良くなるのに」という状況で、もやもやが多いと本人は「自分はコースを外れてしまって迷い道に踏み込んでいるのではないか」なんて考え込んでしまったりする。 それで勢いを無くしたり停滞したりと・・ そういうケースは結構あるのでね。
振り返れば、自分も相当もやもやがあったなあと・・ そう思います。
そんな感じです。 では、また。