長い説明が続いてますね。
この「サルサの解説本」、出来るだけ簡潔に書いて行きたいとは思っていますが、
一つの体系を理解してもらうにはそれなりのボリュームは必要なので、その辺はご容赦を。
で、とっても重要な点なんですが・・
フォロワー(ほとんどの場合、女性)が
ペアダンスであるサルサを踊る際に大切な点、守るべき点を今回は5つピックアップしてみました。
では、行ってみます。
1.勝手に動かない。
2.リラックスする。力まない。
3.(女性も)安全に配慮する。
4.楽しみに来てるんだから、楽しんでいこう!
5.ぶっきらぼうな態度は嫌われる。
以上です。
これ、ある程度サルサをやっていて納得できた方は以降の解説を読む必要はあまり無いのですが・・
ビギナーさんで「なんのこと?」という方のために
一つずつ見て行きます。
まず、最初は・・
1.勝手に動かない。
自分から起動することはない。
ペアで踊る際は、まず、リードを受けてから展開する。
おそらく、99パーセントのインストラクターはこの点に異議なし・・ だと思いますね。
勝手に動いてしまう原因は、幾つかありそうですが、その中の一つは、
「サルサの音楽は聴いてると速いので、うかうかしていると間に合わなくなるという強い刷り込みがあって、待ち切れずに自分が動いてしまう」
というものです。
(性格的なものがそれを強化している場合もありそうですが・・)
確かに音楽自体は速いことが多いです。
でも、フォロワーがフォローを行う時間は充分にあるんですね。
実は 「ゆとりがある」 と言っても良いくらい。
(カウントを正確に掴めるようになってくれば、その事がわかってくるはずです。
また、身体のバランスが良くなれば、より時間的な余裕が出て来ます。)
時間は充分にある。慌てない。
(以下、LAon1のタイミングで解説。)
リーダーからターンなどのハッキリしたリードがかかるのは、多くの場合、カウント5から。 そして、最終ステップは確かにカウント7だけれど、
(5左6右7左)
回転とかの動作は隠れた8までに終わらせればOK。
つまり、7のステップで左足裏のボールに乗り込んで、8まで回転とか。
もっと正確に言うと次の1のぎりぎり直前まで。次の1が始まるまでに動作を完了出来ていれば、リーダーは困らない。
女性の課題としてはやはり “ ターン ” であり(サルサは本当に回転の多いダンスなので)その点を細かく言うと・・
サルサには7で完了できるようなターンと8くらいまで使うターン、
そして7の前の6で完了するようなターンの三種類が存在する。
カウント7を基準に、ジャストとそれより遅め&早めの三種がある。
(もちろん個人差はあるが目安・基準として解説。)
7で完了の典型例はアンダーアームターン。〔1回転〕
8にかかる典型例はクロスボディインサイドターン。〔1.5回転〕
6で完了の典型例はクロスボディリード時のハーフターン。〔0.5回転〕
つまり・・ 注意がいるとすれば、1.5回転の場合くらいで、
あとは慌てず楽しく回ればよいという事。
逆に、ターンの動作で、
フォロワーの動きが早く完了し過ぎてリーダーが困る場合もあるくらいです。
(正面で掛けるアンダーアームターンで、ほとんど5で終ってしまうとか。
例えて言えば・・ 順次、コース料理を出しているのにあまりに速く食べられて、空の皿を前にして料理人として焦る・・ みたいな感じでしょうか。)
フォローしていく一連の時間は、
充分に羽根を伸ばして、短過ぎずオーバーせず、使い切るのが良いフォローの一つ・・
と言えるかもしれません。
とにかく、音楽をよく聞くことです。
それと、(ビギナーとは真逆ですが)
ソロダンスの経験が長い女性で、勝手に自分から起動してしまう場合・・
というのがあるようで
もう、そこんとこは 「完全にモードを切り替える」 しか解決策を思いつきません。
もしくは「別人になる」 かですね。
もちろん、ソロの経験があれば自分の身体を思ったように正確に動かせるわけで
相当なアドバンテージがあることは間違いないのですが、
同じサルサダンスでも、「ステージパフォーマンスのようなあらかじめ振付が決まっているもの」と「即興で踊るソーシャルのサルサ」では勝手が違います。
前者であれば、ソロの技術は結構使えるとは思いますが、
後者は「リードを受けて初めて展開する」この点がまるで違います。
ソロのように「自分から起動する」わけではありません。
なので、ソロ経験者でも完全な初心者として、つまり
白紙の状態で臨まれる方が良いと思います。
以上、
フォロワーは
リードが来てから反応して動くのが基本。
「自分から勝手に動いてはいけない」
でした。
〔補足1〕
この「勝手に動かない」 ですが、
まあ、実際に踊って行けばわかるのですが、サルサには “ シャイン ” と呼ばれるソロで踊るパートが入る場合もあって、この時は自分で自由に踊ってもらって結構です。
ただ、お互いが離れてシャインに入る、また戻るという判断はリーダーが行いますから、基本、勝手にソロで踊り始めるのはNGです。
シャインに関しては入れるリーダーもいれば、入れないリーダーもいます。その辺は様々。
(私は入れないタイプですが。)
〔補足2〕
上の “ 細かく言えば、サルサには7で完了できるようなターンと8くらいまで使うターン、そして7の前の6で完了するようなターンの三種類が存在する。”
のところで、
「 じゃあ、正対してダブル・トリプルといったケースはどうなの? 」
と思う中上級者もいるかもしれませんね。 これは8くらいまで使うケースがほとんどかと思いますが、
仮にオーバータイミング(8を越える)になったとしてもリーダーが次の二小節で簡単に元に戻せる、取り戻せますし、そもそもの話、正対でのマルティプルターンは他のターンよりリーダー自身が回させているニュアンスが強く、しかも相手の力量を見ながらやっているので、そうそうオーバーはしません。
よって心配無用ということです。
《 重要な関連事項 》
音楽をしっかり聴きながら動けるようになり、メロディーも打楽器群もきちんと聴き分けられるようになった。
サルサの動きにもまあまあ慣れてきた。
ところが、
組んだリーダーが音楽を全く聴いておらず、音楽から外れたリードしかして来なかった場合、
それでもリーダーに従うの? それとも音楽に従っていいの? という問題があって・・
これが結構、もどかしいテーマなのです。
フォロワーはリードが来てから反応して動くのが基本。
「自分から勝手に動いてはいけない」
と先ほどサルサの原則をハッキリ書きましたが、そのリードが音楽から明らかにずれていたケースでも、
リーダーに従って動かないとダメなのか?
という問題です。
答を言ってしまうと、
「ペアダンスにおいて音楽は神聖であるが、それでもリーダーたる男性に従うべし。
(不本意かもしれないが)
そうしないと、ダンスが空中分解するから。」
ということになります。
現実的な対応としてはそれしか選択肢が無いんですね。
こういうケースもあったりするので、
「1曲ごとにダンスパートナーを替える」 というのはなかなか練られたシステムであることがわかります。
5分程度、対応すればOKなので。
これが10分20分だと苦行になりかねませんから。
ⅩⅢ.のマナーのところで
「自分には客観的に、相手には寛容に」
「気にし過ぎないというのは大切で、その辺はラテンっぽく行きましょうや」
みたいなことをダダーッと書いたのですが、リーダーが音楽&リズムを外している場合も、
(多少、自分なりのステップを組み入れるとしても)
そういう風に受け流すしかないのかもしれません。
そもそもこの問題、
誰に責任があるかと言えば、
もちろん、100%リーダーにあります。
(超ビギナーの女性を相手にしてこちらもぎこちなくなってしまったり、
あるいはパワーのある外人さんに “ 引きずられる ”(笑)ようなケースは別として。)
「Ⅹ.ベーシックを磨く10のチェックポイント」でも書きましたが、(“ ⑩カウントの正確性 ” のところで)
ペアで踊るダンスというものは、
両者が同じ音楽を聴き、
同じ波・タイミングに乗ることで成立している 訳です。
ですので、タイミングをコントロールして行くリーダーは本来、音楽とシンクロしたステップを踏んで動いていないとマズい。
(シンクロというのは、きちんとカウントを守ったステップから、上級者の変幻自在気味に変化したステップだけど曲に合っているものまで幅がありますが。)
もちろん、踊っていて一曲の中では逸脱するような部分が入ることもあるし、
多少のずれが発生しても、それはそれで大目に見るのもありですが、
《楽しめれば、それで良いので》
それでも、サルサを始めて日が浅い人は別としても、ずっと最初から最後まで曲からずれっぱなしでバラバラ気味というのは、やはり相当問題ですね。
やはり、意識を持って練習しようよ。とか、いろいろな音楽を、特にラテン音楽をたくさん聴いてみようよ。くらいしか言えないんですがね。
後は、先に(Ⅹ. ベーシックを磨く10のチェックポイントのラストで)説明した4種の基本ステップ、とりわけ『ベーシックステップ』でしょうか。
それをきちんとやり込むのがやはり、特効薬だったりする。
(追記)
この関連事項、ちょいと心配性的な書き方でしたが、現状、
東京のダンスフロアで見かける男性陣は音楽を良く聴きながら動けてる人、きちんと乗れてる人が多く、最初から最後までタイミングが狂いっぱなし・という人は居ても少数かと。
ここで書いたこと、そんなに気にする必要はないと思います。
それとあまり無いケースとは言え・・ ビギナーでも完全なカップルで “ 二人の世界 ” に入っている場合、
これはもう、あれこれ言うのは野暮(笑)ですね。
ステップずれてても、楽しめてればOKかと。
もちろん、続けていくつもりであれば、
ぜひ、きちんとしたステップを覚えることをお勧めしたいのですが・・
あまり言うのは野暮ですね。やっぱり。(笑)
2.リラックスする。力まない。
『すっきりと力が抜けて、理想的な “ 動ける立ち姿 ” になっている』
そんな女性は少数派です。
居たとしても、ダンスかある種の武道もしくはスポーツ、あるいは芸事のエキスパートである場合がほとんど。
でなければ姿勢や体重移動に関するプロの指導をしっかり受けた女性か。
つまり・・ 大半の人は、ある種の力みを持っているんですね。
大なり小なり。
日常生活の中で癖になってしまっている、その人固有の力み。
踊る時に、その辺が邪魔をしてスムーズな動きに向かうのを妨げてしまったりする・・
スムーズに踊っていくために、何とかこの力みを消して行きたい訳ですが、
言い換えるならば、ダンスを身に付けようとする時、
基本ステップとか足型とかアームコントロールとか音に合わせるとか
「足し算」の部分はとてもわかりやすいですが、
力みを取るというのは
「引き算」の部分。 とっても大切かと。
・・レッスン時にはあれこれ試行錯誤もしながらやってみるつもりですが、
ダンスレッスンでよく言われるのは
「肩が上がっている」
「肩に力が入っている」
といった点が、力みの指標としてよく挙げられます。
確かに一番わかりやすく、チェックしやすいポイントですね。
ですので、ときどきチェックを入れてみましょう。
肩が上がってないか?
肩に力が入り過ぎてないか?
前に行って(猫背気味になって)いないか?
全体的に肩回りがスッキリしているか? 緊張してないか?
頭頂の軸が傾かず、首がナチュラルに座り、また
うなじに風が抜けるような感覚はあるか?
そういったところをチェックしてみましょう。
(自分ではわからない気づきにくい事も多いので、先輩に指摘してもらうか、
鏡をフル活用するのも良い方法だと思います。)
あらゆるダンスにおいて重要視される 綺麗な姿勢・正しい姿勢の維持は、
「リラックスしている」 という心の状態と密接に関わっており、
「力まない」 というのは肉体のあり方であると同時に、心のあり方でもあります。
やはり、心理とフォームの二方向から探っていかないと、なかなか上手く行かない。
心身ともに力まず、綺麗で正しい姿勢が維持でき始めれば、
そこで得られた “ 体幹の良質な軸 ” を通してスムーズな体重移動と
快適さ及び気持ちよさ、さらには
“ 鮮明さを増した多様な軸 ” を通して、
踊りのエレガントさへと繋がっていきます。
つまり、スムーズに気持ちよくエレガントに踊るためには
起点である「リラックスする」「力まない」といった心身の状態が、
どーしても必要であると。
この心身の固まり具合は、個人差が非常に大きいので、
(自分もガッチガチでしたが)
ついつい力んでしまう人は意識的に
“ 今、カチコチになってなかった? ”
“ リラ~ックス ” とセルフチェックを時々入れてみましょう。
ある種の暗示も含めて。
さらに言うと・・
実際は、ここで述べた「リラックスした状態」で充分踊れることが多いですが、
そこからさらに、身体の適切なポイントへ『充実した力』を乗せると踊りの質、
そして相手との力のやりとりの質が急激に上がったりします。
いずれにしろ、
『力みの取れた状態』でないと『充実した力』は乗っけられないので
「リラックスし」「力まない」 ことはやはり極めて大切だということになります。
その辺は、レッスン内で都度見て行きたいです。
3.(女性も)安全に配慮する。
レッスンの現場では
「リーダー(男)は女の子がぶつかったり、ケガしないよう100%の責任持ってリードしてね~☆ 」
みたいに言われることが多いはず。
これは正しいです。
そう、全く正しいのですが・・
実際問題、男がそんな心掛けでリードしたとしても、ダンスフロアでの接触を100%避けられるかと言うと・・
本音を言えば、これは不可能です。(とりわけ、東京の混雑した状況下では。)
ですから、
女子も安全に配慮する
多くを男に頼る・任せる部分はあっていいんだけど。
ということでしょうか。
安全に楽しく踊るためには、女性側の分担というか
助けも必要なんですね。
《混雑したダンスフロアで守りたい幾つかのこと》
それまでスムーズで気持ちのよい力のやりとりが出来ていたリーダーがいきなりカウントやリズム無視気味の強めの力を加えて来た場合、
(具体的にはちょっと強引なオープンブレイクで引っ張ったり、いきなり側面や後方に身体を入れ込んで壁を作るケース)
これは、あなた(女性)の視界に入っていない他のペアがあなたと接触しそうになっていて、それを避ける、すなわち「回避行動」としてやっている場合があります。
リズムに乗りながらスムーズに回避出来ている場合もありますが、混んだ状態で他ペアが急接近してきたりすると
それでは間に合わない場合がどうしてもあって、そうなってしまうことがある。
(まあ、そういう “ ガードする意識 ” の無い、無頓着なリーダーもいますが。)
大概は“ きょとん ” とされ、“ 今までスムーズだったのに、今のリードは一体何だったんだろう?? 新種のコパ??” (コパというのは技の一種。)
みたいな表情をされることがありますが、
まあ、視界の外で起きている出来事なので、これはわからなくて当然です。
(リーダーの目線の方向と表情でわかる場合もあるはずですが)
ただ、そういう「回避行動」が時としてある事を、(そういう回避行動を行うリーダーもいることを)
覚えておくと良いと思います。
(混雑すればするほど、そういうケースは出て来ます。)
このような状況というのは「東京」 あるいは日本限定・・ かもしれません。
海外の箱というのはやはり余裕があります。
右側で接触する可能性があれば左に逃げれば良いわけで、
日本のように、前後左右を囲まれて空間を見つけられない、なんてことは滅多に起こらないはず。
(最近は比較的余裕のある箱も出てきたりしてますが。)
それから、人ではなく物に注意を払いたいケースもあります。
出来るリーダーならば、テーブルや柱などの角も結構意識しています。
その辺にも注意を払う必要があるんですね・・時として。
ここで言ってることは、
リーダーにお任せで開放的に踊れるのが
フォロワーにとってのサルサの醍醐味の一つかもしれませんが、
ちょこっとだけ安全面を気にしよう。(特に『後方』を)
という事。
言い換えれば、
リーダーがカバーリングしにくい部分に関してです。
では、具体的にどういう風に気を付ければよいかと言えば・・
(3つ挙げてみます。)
1.ボール⇒ヒール、ボール&フラットの綺麗なベーシックステップを身に付ける。
特に、カウント1のバックステップは衝撃荷重にならない、柔らかなステップが無意識に踏めるようにする。
そういうステップであれば、仮に他のダンサーの足を踏んでしまったとしても怪我までは滅多に行かない。
ⅩⅠ. サルサシューズ のところで “ 美しい踏み方=安全な踏み方 ” であることは既に説明しました。
LAon1における女性のカウント1のステップは「ヒールを着かない」ケースが多い。 着いても触れる程度、体重をフルに掛けたりはしないという事も。
・・ そもそもの話、“ 誤って他人の足を踏んでしまった ” としても、足の前部で踏む分にはほとんどダメージは無いんですね。 男の頑丈な足であればなおさらですが。 問題は接地面積の狭いヒールで踏んでしまった場合で、これは危険な場合がある。
でも、綺麗でしなやかなステップを身に付ければ仮に踏んでしまったとしても、危険なケガ⇒単に痛いだけの出来事、そこまで軽減できる・という事を言っている訳です。)
2.水平方向へのスタイリングを入れたい場合、それが後方であれば腕だけを入れるのは避ける。必ず、顔(目線)を一瞬前か同時に向けて、腕を入れる空間があることを確認する。
(かなり混んでいたら、後方へのスタイリングは入れない・という判断も悪くないと思う。中上級者になるまでは。)
3.対人(対ペア)だけではなく、対物の接触もあることを認識する。
テーブルの角とか柱とか、DJブースの出っ張りとか・・
対人に比べて対物の危険性については無頓着になりがちで、接触寸前なのにそのエッジに気が付いてないようで、動きも大きいままでハラハラすることがあります。
まあ、そういう場合は早めに何とか移動するか、なるべくエッジ側に自分が立つようにしていますが。
(最初からゆとりのあるスペースで開始できれば全く問題は起きないんだけど・・)
そんなところでしょうか。
後は、サルサシューズの最後で
“ 靴をルーズに履いていると危ない ” とか(後編の方。現在執筆中)
マナーのところで
“ アクセサリーの種類によっては吹っ飛んだり、危ないケースがある ”
といった事を書いたのですが
そういった点も安全対策として
理解しておいた方が良いかもしれません。
・・・ さて、
マナーや、ここの “ 勝手に動かない ” のところでも書きましたが、
「自分には客観的に、相手には寛容に」
「気にし過ぎないというのは大切で、その辺はラテンっぽく行きましょうや」
ということを、本サイトでは繰り返し言っています。
神経質になる必要はないんだけど、
でも、後を引くようなケガをしてしまうとこれはお互いが辛いので
ある程度の認識、そして防御策は女性の側も身に付けようよ。 ということを述べています。
「接触」に関しては
単なる「触れる」接触から、痛い接触、
ケガと言ってもよい接触まで
実際いろいろあると思います。幅がかなりある。
「触れる」程度の接触であれば、いちいち目くじらはたてず(ごめんなさいはあった方が良いですが)
逆に痛い接触は極力、
そしてケガだけは発生しないように、楽しく踊っていきたいものです。
それから、
多人数が限られた空間の中で踊る際、
それがLAon1、NYon2 といったスタイルで踊るダンサーであれば、
「ダンススロットを守る踊り方」 というのが非常に重要になってきます。
“ ダンススロット ”
このサイトでは・・ 初めて出て来る言葉ですね。
単に “ スロット ” と呼ぶことも多いですが
これは足元に想定した
“ 平均台のようなイメージのライン ” のことです。
( “ Ⅷ.LAon1のステップ・その基本 ” のところで触れたイマジナリーラインの事。)
スロットは英語で溝という意味ですが、
ペアダンス(この場合、サルサ、スウィング、ハッスルといったペアダンス)
におけるそれは、深い溝というよりは
引き戸を通すための溝、引き戸が行ったり来たりする溝に近いです。
イメージ的には。
そのイマジナリーな溝の上を二人が行ったり来たりしながら踊るわけです。
ダンススロットの捉え方はいろいろで “線” だけではなく、細長~い長方形をイメージしたり、
あるいは立体として、つまり箱のイメージ・として語られることもありますが、
私は “ 平均台(balance beam)” のイメージが一番しっくりくるので
そういう認識でいます。(特に女性に対しては適切だと考えます。)
本質的には “ 可変 ” (つまり、一曲の途中で引き直しも可能)ですが、
日本の混雑しているフロアでは一曲で “ 固定 ” する方が安全面からも望ましいし、
それで上手く行くことがほとんどです。
というか、何か変えたい理由が無い限り “ 固定 ” ですね。
(ベテランのリーダーであれば、一曲の中で微妙に、あるいは巧妙に引き直していることも結構あったりします。 それは安全面だったり、表現面だったり、理由はいろいろだとは思うけれど。)
フォロワーの場合、ダンススロットを難しく考える必要はなく、その設定に頭を悩ます必要はまったくありません。 つまりリーダーに頼って、完全にお任せで良いのですが、
ただし「まっすぐに進む意識」は必要です。
あるいは「振り返った後も、まっすぐに進む意識」です。必要なのは。
(無論、LAon1、NYon2の場合です。 キューバンはかなり異なります。)
“ ダンススロット ” に関してはこのくらい理解できていれば、まずは充分かな。
興味のある方はウィキペディアに簡単な記述がありますので、そちらをご覧ください。
日本語バージョンは無くて、英語その他ですけれど。
https://en.wikipedia.org/wiki/Dance_slot
以上、
《混雑したダンスフロアで守りたい幾つかのこと》
と題して、
安全・特に女性が心掛けたい安全面のあれこれについて書いてみました。
4.楽しみに来てるんだから、楽しんでいこう!
間違えた! と思った場合でも基本、ノープローブレムです。
「ごめんなさい」 を何度も言う必要はまったくありません。
少し謝るくらいなら良いのですが、やり過ぎはNGという事。
繰り返し謝ることはむしろ、男性を困惑させることの方が多いのです。
(マナーに抵触する部分であれば、ごめんなさいが必要なこともありますが、
フォローを間違えたからといって、その都度あやまる必要は全く無いということ。)
受験や資格試験を受けに来ているわけではないですし、
ダンスを楽しみに来ている訳ですから。
(それに、女性が間違えるというのは男性のリードが不充分、つまり
男性側に原因があることの方が遥かに多い訳なので。
完全なビギナー、初サルサの女性の場合などは別として。)
日本人はどうしても謝ってしまいがちなところがあり、
(それが美徳になる場合もありますが)
サルサのような明るいラテンダンスでは、不似合いな感じもします。
謝り過ぎるのは。
その辺は外国の方のソーシャルダンスから学ぶ点は多く、
「楽しみに来ているんだから、楽しもう!!」 感が満載ですね。 彼・彼女らの印象は。
そういうのは真似したいですね。
(冒頭に書いたように “ フォローで間違えても謝り過ぎない ” ということを言っているので、
マナー面で何かあったら、それは謝ることも必要かな。
そこんとこはヨロシク。)
サルサを始めて日の浅い女性や、初めてサルサバーやパーティに来た女性ほど
うまく動けなくて、ステップが定まらなかったりして、
ついつい「ごめんなさい」 を連発してしまいがちですが、
誘ったリーダーは(ある程度サルサをやり込んでいる男性であれば)
相手の経験値は組めば一発でわかるものですし、相手に合わせて調整はします。
(どの程度の調整かはリーダーによってかなり差があるとは思うんだけど。)
また、男の場合、ペアの力量の差がとても大きかったとしても大抵の場合、楽しめてますし、
素人さん相手で “ わかる ” というか、新しい発見もあったりするんですね。
ですから、初心・初級者の女性が間違えるのは当たり前、
リーダーに気がねし過ぎず楽しんで動ければ、まずはそれでよいのです。 5分前後の時間を。
リーダーというもの(というか男というもの)は、謝られるより、楽しんでもらえる方が遥かに嬉しく、
やる気になる・ということは確実に言えると思います。
それから、もう一点。
ここでは、女性に対して 「楽しみに来てるんだから、楽しみましょう」 と言ってるわけですが、
男性が楽しんでいるかどうか、という点について少し触れておきましょう。
男はリードに必死な時代というのがあり、(もちろん、これも個人差ありありですが)リードを継続するのに必死で、要するに
「余裕がまったく無くて」
顔が能面だったり、表情がほとんど消えてしまっているケースもあったりするのですが、
これは決して
あなたが嫌で踊っているわけでは無いので(笑)
「なんか全く無表情だけど・・この人楽しいのかしら?」
と思うことがあるかもしれませんが、単に必死で表情が消えているだけです。男の場合。
充実してます。あなたと踊る時間。(笑)
元々がポーカーフェイスな人なんだけど、ムチャクチャ楽しんでるケースもあるようです。
(もちろん、スマイル付きのソーシャルダンサーは大変素敵ですが)
無表情を通り越し、必死すぎて「怖い」表情になっている人も稀にいるみたいですが、
「怖い」表情になってはいても、楽しんでいる(笑)充実してるらしいので、
その辺は、女性陣には大目に見て頂けたらと思います。
以上、“ 楽しみに来てるんだから、楽しんでいこう! ”
でした。
5.ぶっきらぼうな態度は嫌われる。
ぶっきらぼう・・ 無愛想とか、冷淡とか、そういう感じ・・
英語で言えば、UNSOCIAL。 ソーシャルダンスをやるのにアンソーシャル(笑)というのもちょっとおかしいんですが・・
まあ、ソーシャルを踊ってみようとトライする女性に、極端にそんな感じの人は
そうそう居ないとは思いますが・・
サルサは大小何度かのブームを経て、現在に至っているわけですが、
やっぱりブームの時っていろんな人が来る訳です。
普段より。
で、ダンスフロアは社会の縮図感が普段より濃くなることもある訳です。
(この辺は、ⅩⅢ.の “ マナーについて ” のところでも触れていますが。)
で、ぶっきらぼうな人、ちょっと乱暴な人が混じる可能性がある。
(女性というよりむしろ男性の問題という気がしますが、
女性でもナッシングとは言えないところがあるんですね。これが。)
ぶっきらぼうな人・というのは無自覚っぽいんですけど、
ある程度サルサを続けている人ならば相手してもそんなに影響は無いんですが、
完全ビギナーや始めて日の浅い初級の人とかが当たってしまうと、やはり良い気持ちはしないし、影響があるんだよねー。これが。
(実際に、誘った友人の足が遠ざかった・・みたいな話は聞いたことがあります。これは男も女も。)
まったく見ず知らずの人に声をかけられ、一緒に踊るというソーシャルダンス。
あらためて考えてみれば、これは相当に “ 非日常 ” の世界です。
男性からすれば見ず知らずの人に声を掛けるというのは(同じ趣味を共有してるとは言え)
最初はやはりドキドキです。
日本人男性はシャイな人が多く、 “ ダンスに誘う ” “ 声をかける ” というのは
非常に勇気のいるものなのです。
駆け出しで自信の無い頃は特に。 私もそうでしたし。
最初からそうではない例、たとえば、俺様的リーダーとか、“もう、誰とでも仲良くなっちゃうよ~” 的な
みんな友達認識のリーダーとか、営業モードで片っ端から声をかける人とか、チョイ悪でサラッと誘ってしまう人とか・・
そういうのは一種の才能(笑)でして、
たぶん、大多数の男性はシャイなタイプだと、私は思う。
そういう男性が頑張って何とか声をかけた時に、対応がぶっきらぼうだったりすると
これは、ダメージが残るんですね。 想像以上の。
まあ、男もレッスンとか受け始めて状況が何となく飲みこめて来たら、ぶっきらぼうな対応をしそうにない優しい感じの人に声をかけたりとかしてる訳ですが・・
(男の思い込みもかなり入っているとは思いますが。)
思い返せば・・ 私もそうでした。
優しい女性陣がいたからこそ、このダンスを続けられた・というのは確実にあると思います。
(サルサや多くのソーシャルダンスは非常に魅力的・魅惑的で奥の深いものですが、ダンスの魅力だけでは駄目で、結局は相手のソーシャリティ〈マナーを踏まえた社交性というか、その人なりのコミュ力と懐の深さ・・みたいなもの〉が決め手になります。)
冷たい感じの人ばかりだったら、今、こんなサイトを作ってはいないでしょう。
それでは、整理してみます。
「ぶっきらぼうな対応をしない」 というのはソーシャルの現場でとても大事なことです。男女問わず。
サルサに限らずすべてのペアダンスで重要。
それをやられると、そのダンスそのものが縮小傾向に向かいます。そうならないように、最低限の気配りは必要だよね、ということを言っています。
では、現状はどうかと言うと・・
ほとんどの方は気さくな感じだし、心配は不要かな。
ただし、来るものは拒まず・の世界なので、
無自覚でわかってない人が紛れ込む可能性もあり、指摘してみました。
〘 関連事項を一点。〙
サルサの世界では
“ 男が一人前のリーダーになるには女性の3倍の努力が必要 ” とよく言われます。 これはやや控えめな表現かもしれず、10倍は大袈裟としても5倍くらいは軽くかかかってしまうような、そんな気もします。
特に日本人はペアダンスの文化に触れる機会なんてまずありませんから、ほとんどの人がゼロからのスタート。
コツがつかめず、うまく行かずに挫折してしまう男性は・・ 残念ながら多い。
女性・フォロワーの場合は一曲通して踊れるようになるのに男性ほどの時間は掛からないが、逆にそこからのブラッシュアップに相当なエネルギーを使うと思います。登っていくのが。
つまり、男と女で “ 典型的な成長曲線 ” というのが違ってたりするんですね。サルサの場合。 一般論として男はフリーで一曲通すまでが大変で、女は通しで踊れるようになってからの調整や磨きが大変、ということ。
いずれにしろ、
男が一人前のリーダーになるにはかなりの時間がかかるのは間違いない。
(非常に勘が良く、呑み込みが極めて速い人も稀に居ますがそれはホントに例外ですね。
なんらかの土台を持っているか、もしくは仕事上の専門性から来るポイントの見極めが的確な人か、元々空間認識に秀でた人か、一気呵成に取り組める桁違いの集中力のある人か、いずれにしろ、稀。)
ですので、彼のダンスが今ダメダメであっても、そこは5分間。
種に水をやるような気持ちで見守って欲しいのです。
(継続しそうな匂いのする男であれば特に。伸びしろが感じられればさらに。)
私はビギナーだから見守るなんて立場じゃない・・
いえ、それは、すぐにそうではなくなる可能性が高いんですね。
繰り返しになりますが、
サルサの場合、フォロワーの成長曲線とリーダーの成長曲線は異なります。
一曲通してスムーズに踊れるようになることを最初の目標とすれば、男はかなり大変で、女は比較的容易。
女性ならば、比較的早い段階でソーシャルダンスを楽しめるようになると思います。
組んだ相手がベテランで上手に対応できるリーダーであれば、
日が浅い段階でも魔法のように踊り切れる場合もある。
ただ、男の場合、
初心者に対する魔法、これは残念ながら無いんですね。とにかく時間をかけて
少しずつ慣れて行くしかない。
よくあるパターンは
少し出来るようになったが、つまり階段を数段上がったが
そこで文字通り “長い踊り場” に突入し、なかなか次の階段が見えて来ない、
上がれないというパターンです。
(実際はここで溜めているんですがね。 ここで粘れる人であれば先は明るいです。)
また、レッスン時は出来ているように見えても、本番では上手く行かないケースがざらにあって
そこがネックになり、なかなか前へ進めなかったりする。
つ・ま・り・
男女が同時にレッスンを受け始めても、
“ 男は置いて行かれる ” ケースがかなりあるんですね。(個人差はもちろん大きいですが。)
そして、そうこうしている内に、
女性はビギナーでいたつもりが、いつの間にか「見守る立場」 になっていたりする、そういう事です。
という訳で、良いリーダーが一人でも育つように(増えるように)
ぜひぜひ気長につき合って欲しいです。
スロースターターの人もいますからね。(私もそうでしたし。)
以上、「ぶっきらぼうな対応をしない」に続き、
関連事項として
「初心者男性には気長に対応。そして、良いリーダーを育てよう」 でした。
以上で、「フォロワー(女性)が守るべき5つの基本スタンス」 を終わります。
再掲すると、
1.勝手に動かない。
2.リラックスする。力まない。
3.(女性も)安全に配慮する。
4.楽しみに来てるんだから、楽しんでいこう!
5.ぶっきらぼうな態度は嫌われる。
ですね。
こうして並べてみると、
かな~り大切な点なんじゃないかと思います。
さて、ここでおしまいにしても良いのですが、調子に乗って
「フォロワー(女性)が技術的に理解しておいた方が良い点」
これも出してみました。
7点になります。
こちらもついでにやっておきましょうか。
(やや専門的な記述になりますので、レッスン受けている方か、ある程度サルサダンスをやっている方のみお読みください。)
1.リズムをキープし、足を止めない。 リードの力の方向に従って動く。
初見の技・リードが来ても、高確率でベーシックステップを続けるのが正解。
二行目の “ 初見・・ ” に関しては異論もあるかもしれませんが、割り切った把握が必要かと思います。
女性でサルサを始めたばかりの方であれば、特に。
中でも、リーダーがあなたの後方に回り込んだり、あなたを中心としてグルッと回るような動きに入った場合、
言い換えると、“ リーダーの姿があなたの視界から消えた時 ”
ベーシックを綺麗に踏んでいれば
(上達してきたら、相手を妨げない系統のスタイリング、ソフトな腕の動きを加えてもいいですが)
それが、リーダーが狙っていた・求めていたものであることが多いです。
とにかく、ベーシックステップはあらゆる局面で顔を出して来るものだと
考えておいてください。
要するに、足が止まってしまうのが一番マズく、
分からない場合はベーシックを踏むのが、最良の選択であることが多い。
“ わかんなかったらベーシックを継続 ”
そして、足を止めないことが重要。
です。
足が止まってしまった状態でリードを待つより
わかんなくても、とにかくベーシックを音楽に合わせて踏みながら次のリードを待つ方が絶対に上達していきます。
ベーシックでぶつかってしまいそうな場合は、サイドステップ(サイドブレイク)を踏むのも有りでしょう。
とにかく音楽に正確に乗り、足は止めないことです。
ショートステップ(歩幅の短いステップ)、あるいは軽いステップ、
に一時的に切り替えるというのも充分ありですが・・
その上で、ターン圧力が掛かかったのであればターンすれば良いということ。
足を止めない、リズムに乗った正確なステップを継続することが上達につながる最良の道だと考えます。
(なんか、えらく強調してしまいましたが、そういうことなんですね。)
それでは、次。
2.テンションが途切れないように心掛ける。
サルサには言葉だけでは説明しにくい、体感して納得・会得すべきポイントが幾つかあると思います。
その中でも特に大切なもの・・ それが、
「テンション」 かもしれません。
といいますか、サルサダンスに限らずすべてのペアダンスで関わって来る重要ポイント、
それが この「テンション」というものです。
辞書などで、“ TENSION ” という言葉を引いてみると、もっぱら PULL すなわち、引っ張った時の緊張状態みたいな意味ですが、
ペアダンスの場合には、PUSH も PULL も すべてTENSION です。
(サルサを含むスロット系のペアダンスであれば間違いなくそう。)
ビギナーの方は
リーダーとフォロワーの間の 「力のやりとり 」 もしくは 「力の連結 」
と言う風に理解しておけばよいと思います。
そして、初心・初級の時期は特に、
テンションが出来るだけ途切れないように意識して踊ることが大切
と考えておいてください。
女性から見たリーダーに対するジョイントの仕方は
手のひら同士であったり、リーダーの手に引っ掛かった状態であったり、
あるいはボールルーム的なクローズドホールドであったりと
いろいろですが、
「テンションが消失しないよう、しなやかに押し続ける。(場合によっては引く。)
強弱の波はあっても。」
というのが、とりわけ初心・初級の時に大事な点だと考えます。
「押された分だけ、押し返す(ようにしてテンションを維持)」 という捉え方でも充分です。
(引かれた分だけ引き返す、というのももちろん必要で正解です。
が、引く方は特にぎこちなくなりがちなので、“ しなやかにソフトに ” やることを心掛けてください。
※押す方はそれがぎこちなくなっても、引く場合ほど目立たない。ように感じます。)
それから・・
テンションについては個々のダンサーで明らかに好みがあって、
強めが好きだったり弱めが好きだったりと、本当にいろいろなんですね。
相当、幅があります。
その辺も経験を積めばわかって来ると思います。
最初に書いたようにこのテンションというもの、
個別のダンサーでの強弱も含め、“ 体感しないとわからない ” 部分が大きいので
当レッスンでは動きを通じて納得できるようにやって行きたいと思います。
(うちは標準か、標準よりやや強め・・ で行くと思います。)
ちなみに映像を探してみましたが、
フランスのスタジオでいいのを見つけました。PUSH面ですが。
こういう練習↓ はものすごーく良いと思いますね~
お互いの力が逃げないように〔漏れないように〕するのが大切なポイントですね。
「力のやりとり 」 もしくは 「力の連結 」
というのがなんとなーくわかって頂けるでしょうか?
3.ドロップされたらストンと落とす。
この “ ストン ” というニュアンスが難しいのですが、かなり脱力して落とす感じです。
おっと、その前に、
“ ドロップ ” ってそもそも何? というところから説明が必要だよね。
「ドロップ」というのはリーダーが肩越しに、あるいは肩の高さくらいから
繋がれたフォロワーの手を離して落とす動きのことです。
離した女性の手をそのまま放置・・ という事はまれで、
大抵は反対側の手でキャッチします。 腰の位置くらいでね。
リーダーは左手で離したら右手で腰位置キャッチ、
右手で離したら左手で腰位置キャッチ・・ です。
なので、単に “ ドロップ ” と呼ばれることは多いのですが、
“ ドロップキャッチ ” という名称がきちんとあり、こちらで呼ぶ人もいます。
(どちらで呼んでも構いません。)
上手い人だと自分が回転しながら自分の首に巻くようにしながら落としたりとか、
あるいは回転しながら、落とした手と同じ手を使い腰位置でキャッチするような例も見かけます。
典型的なドロップキャッチで説明すると、
リーダー左手、フォロワー右手で繋がった状態で、
サルサのステップの流れに乗り、リーダー(男)は女性に対して
背中を向けるようなポジションを取ります。
(女性にアンダーアームターンをかけた後半で背中を向けるパターンなどが多い。
ここではハーフレフトするケースで説明。)
この状態で左手を自分の右肩(左肩の場合も有り)に置き、女性の右手を肩越しに
“ ドロップ ” します。
女性は放された右手をそのまま下へ落とします。
(ここで男性の背中にどの程度触れながら落とすのかで微妙にニュアンスは違うのですが、今回は踏み込みません)
「大抵の場合、男性は反対側の手でキャッチしに来る」とさっき書きました。
ですので、
女性は落とされた手を、腰位置に差し出された男子の右手の上に
ピタッと置く。 これでドロップキャッチの一連の動きは完了です。
(“ 落とす ” と言いましたが、少し斜め気味に描きながら落とす場合も割とありますね。)
結果的に左手と右手で繋がっていたものが、右手と右手のクロスホールドへと自然に変更され、
そこから次の動きへと繋がって行くわけです。
カウント的には一小節で、すなわちファイブシックスセブンやワントゥースリーを使って
ゆっくり目で落とすこともあれば、もっと短く一瞬で落とすケースもかなりあり
お互いの動きの中でスムーズに組み込んで行きます。
その辺は慣れるしかないですね。
さて、大切な点をひとつ。
このドロップ、
最初に “ かなり脱力して落とす感じ ” と書きました。
この「力の抜き具合」ですが、完全な脱力から少し力を残した脱力まで微妙な幅があって・・
(つまり、個々のフォロワーでその力の抜き具合に差が生じやすいという事。)
この辺は完全に好みの問題でしょうか。
(男女とも好みが発生すると思いますが、この場合は特にドロップした男性の感じ方です。)
ちなみに私は後者寄り、“ わずかに自立的な力を残した脱力 ” の方が好みですね。
この辺は実際に動いてみないとわからないニュアンス、としか言いようがないので、
いろいろ試していければと思ってます。
目安としては、女性(フォロワー)の腕は
ズドンと落とすのではなくて、秒速60cm
それくらいの速度でやわらかく落とすことを最初の基準にして、
やってみたいと思います。
(当然、曲の速さなどでその辺のスピードは変わってくるはずです。)
4.コーミングは、変に引っ張らない、抵抗しない。
コーミング(COMBING)というのは、サルサダンスに必要不可欠な動きであり、
多用される技の一つです。
これ無かったら、リーダーの組立てにかなり障害が出る。
それくらい重要な動き、だと思います。
あんまり重要なんで、いずれ項目を別に立てて説明したいとは思っているんですが、
COMBING のCOMB とは “ 櫛(くし)” のこと。
つまり、COMBING というのは、櫛で髪をとかす動きになぞらえた一連の動作の事です。
リーダーがあなたの頭部にあなたの腕をかけたり、リーダー自身の頭部に繋がった腕をかけたり・・
そういった動きのこと。
コーミングは単に “ コーム ” と呼ばれることも多く、
他にも、ヘッドループ、ネックループ、あるいは単にループ、といった呼び名があり、
ヘアブラッシュ、と呼ばれる場合もあります。
少数派ですが、ヘアコーム、ヘアループも有り。
全部正しい呼び名、そしてすべて同じ系統の動きを指しています。
これだけたくさん名前があっても、意味するものはすべて同じということ。
さて、ここから表題の内容に入りますが、
リーダーがあなたにコームしてきた場合、
「ああ、コーミングなんだ」 と変に気を利かせて、つながった腕をひっぱったりしたとすれば、
これは完全NGなんですね。
フォロワーがコームを掛けられた場合、
良かれと思って引っ張るような力を加えたり、逆に変に抵抗するような力を入れてはいけません。
初心・初級者の場合は特に “ 脱力 ” を心掛けましょう。
コーミング時の腕の脱力は、3番で説明した “ ドロップでの脱力 ” に非常に近いのですが、
(というより、完全に同じだと見なしてもOK。)
言い換えればサルサでは
ドロップやコームの動きを通じて、フォロワーは両腕から肩まわりにかけての脱力加減を覚えて行く。
そういうところがあるかもしれません。
ビギナーさんと踊っていて思うのですが、
相手の動きを読んで、その動きを加速させるような力をついつい反射的に加えてしまう人というのは、むしろ日常的には気配りが出来る人なのではないか・・
そんな風に思う時があります。
ただ、二人で踊る、リード&フォローの中で
その気配りが空回りし、結果的にリーダーがあなたを動かしにくくなっていたりするので、
ここは一つ、リーダーに完全に任せて自分の腕はほぼ脱力してみましょう。
(完全脱力で腕がだらんと落ちるというのは、やり過ぎ感があり、
腕は落ちつつも、その重さをギリギリ支えるだけの最低限の力はキープしながら脱力・・
というのが私は良いと思ってます。)
(補足)
“ 初心者さん相手でこちらがコームしようとしたら、勝手に回ってしまった。”
というのは、ほとんどのリーダーが経験している事なんじゃないでしょうか。
なるほど、ターンのリードにしろ、コームのリードにしろ
相手の頭くらいの高さに男性の手が上がる訳で、駆け出しのフォロワーであれば、間違うのも当然・・ かもしれません。
ただし本来は、リーダーの手の軌道や力の入れ方ですぐわかる、簡単に区別はつくはずなのです。
また、より簡単な見分け方として
フォロワーに対し
手のひらが向いていればターン、手の甲が向いていればコーム
だと言えます。
例外もわずかにあるような気もしますが、
初心・初級のリード&フォローであればほぼ100%そういう見方でOKです。
少なくともお互いが向き合った状態であればそうです。
(ただし、あくまでも “軌道” や “ニュアンス” といった『テンションの掛かり具合』で判断し、
“手の向き” のような 『視覚情報』 は副次的な判断材料とする方が
良いフォローに繋がるような気がしますね。 その辺は基礎を固めつつ、
馴染んで行ってもらえればと思います。)
5.リーダーが取りやすい手の位置というのがあって、そこは意識しよう。
通常のオープンポジションを取った時、手からヒジにかけては
腰の位置に来るわけですが、
この状態を出来るだけ維持して欲しい、これが大事な点。
“ だらーんと手を垂らした状態 ” というのはとにかく良くないんですね。
リーダーがあなたの手を取ることが出来なくなるので。
サルサは速い音楽ですが、その速い音楽に乗り、手のつながり方が
右手→左手→右手→両手・・・ みたいに頻繁に切り替わることが多いです。
そんな時に、だらーんと女性の手が垂れていると男は取れない。
おそらく達人クラスのリーダーでも難儀するでしょう。
ですから、ウエストの位置に前腕がほぼ維持されている
というのが大切なんですね。
(注: 手からヒジまでが前腕、ヒジから肩までが上腕。)
スポーツ・・ そうですね、特に球技であるなら、ボールを持ってない方の手とかラケットを握っていない方の手というのは、非常に重要な役割を果たしているはずです。
ダンスにおいても、フリーハンドは極めて大切です。
バランスを取るのに使っても良いし、つながっておらず男性が手を取りに来ないタイミングならスタイリングを入れるというのも悪くはないですが、
まずはリーダーが取りやすい位置、
すなわちウエスト位置に前腕をキープすることから覚えて(癖を付けて)行きましょう。
前腕がウエスト付近の高さで水平を維持出来ていれば、まずは及第点。
(極端な身長差がある場合は、若干相手に合わせることも必要かもしれず、ちょっと難しいがそこは臨機応変に。)
さて、以上は「普通に踊っている際のフォロワーの一般的な手の位置」に関してですが、
「ターン、すなわち回転時にどこに手を置くのが望ましいか?」 という問題が別に有ります。
シングルターンでもそうですが、特に二回転とか三回転、いわゆる「マルティプルターン(複数回転)」の時は特にそう。 ダンスフロアで眺めててもいいし、今はYoutubeでいろんな映像が見れますから容易に発見できるはずですが、
手の甲を背中側の腰位置にピタッと当ててターンしている女性を結構見つけられると思う。特に向かい合っている場合のターンで。
これ、なんでこんな特殊な位置に手を当てているのかと言うと・・
これはリーダーが「ハンマーロック」という状態へと持って行けるように、そうなる可能性を見越して背中側の腰位置に手をセットして回転しているわけです。
(回転方向が、指先でフックできる方向の回転に限る。)
男性側からすれば、女性のフリーハンドが腰の高さ、それも前腕が背中の位置に水平にないと、ハンマーロックポジションにいきなり繋ぐのは無理なんですね。
その辺は “ あうんの呼吸 ” でやっている感じ・・でしょうか。
ただし、これですね。
現実にはくるくる回るターンからハンマーロックポジションへと頻繁に持って行くリーダーと全くそれをやらないリーダー、それぞれのタイプがいますから、(時々取るタイプも当然いるわけですが)
女性が折角やっても無駄になることは結構あるわけですね。
ですので、“ 取られたらラッキー ” くらいに考えておきましょう。
こういう仕組みが色々とわかってくると、サルサは・・(というかあらゆるペアダンスは)
男が一方的にディレクションしているのではなくて、実は共同作業であることが実感できてくると思います。
というより、フォロワー(女性)の力は実は絶大 だと言っても良い。
「受けとめる力」って物凄い技量が必要なんですよ。 なんというか・・ サッカーで例えるなら、(リーダーが)放ったパスを上手く(出来ればエレガントに)受けて、それを美しい軌道でゴールに叩き込む、みたいな。
よく “ 男は額縁、女は花 ” あるいは “ 男は額縁、女こそが絵画 ” みたいな表現〈戒め?〉がペアダンス、特にボールルーム系のダンスで言われたりしますが、得点するのは実は、女性なんですね~
ペアダンスをやればやるほど、その辺は見えてくるのではないでしょうか。
以上、
サルサにおいて、フリーハンドの位置はリーダーが取りやすい位置にあることが大切。
基本は「ウエスト付近の高さで前腕を水平に維持」
この点と、プラス、
ハンマーロックに移行する流れの好きなリーダーもいるので、「回転中にフリーハンドの手の甲を背中側の腰位置にピタッと付ける」やり方は結構好まれる。(フックが可能な回転方向に限る)
特に向かい合った状態でターンする時・・ですね。
このような点について説明してみました。
6.CBL(クロスボディリード)などで、目の前に前進できる空間が開かれたら、
次は回転、トラベリングターン。(回転量はリードに従う。)
サルサダンスにおいて女性の正面に位置した男性は、彼女が前進しないように
常時 「蓋をしている」 ような状態になっています。
お互い正面に向き合ったままで幾らでも踊れるし、展開も出来ますが
それは同時に、彼女が不用意に前進しないための 「 自身がフタになっている」 状態であるとも言える。
そのフタが(扉に見立てても良いのですが)パカッと開いたら
これはもう前進するしかありません。
そして、9割以上の確率でリーダーは左回転か右回転の力を加えて来ますから
リズムをキープして回転動作に移る必要があります。
(回転以外の動きとしては “ 女性の動きを止める、静止させる、あるいは戻す ” もしくは、
“ ウォークスルー、すなわち歩かせてポジションを変えてみる ” みたいなケースが考えられるでしょうか。これらは中級以降の領域で、サルサを始めて日が浅いのであればほぼ100%左右、どちらかの回転動作になると思います。)
もう一度言うと、フタが開けば、ほとんどのケースで回転動作すなわち “ ターン ” ということになります。
扉が開く、あるいはフタがパカッと取れればイコール “ 回転 ” ですね。
LAon1のステップで言えば、
カウント3で(遅くともカウント5の前に)
扉がひらく、フタが外れる。 リーダーが横に移動して道を開ければ、
そこからは移動しながらのターン(トラベリングターン)です。 リズムをキープしながらね。
次に、回転量に関してですが、
基本的に、1.5回転というのが非常に目立ちます。 それからCBLのようなハーフターンつまり、
0.5回転というのも多いです。
これは・・ リーダーがフォロワーを回転させた後、(送った後)
送った先へ身体を向ける、すなわち彼自身がハーフターンしていることが多く、
フォロワーが元居た方向を振り向いてくれれば、お互いが再度向き合う形になり、
次の展開に都合が良いからですね。
1.5や0.5が多いのはそういう事。
この “ +0.5 ” が無いと、 リーダーに背中を向けた状態で終ってしまうんですね。
・・ビギナーさんは、何を言っているのかわかりにくいし難しいかもしれませんが、
もう、その辺は実際に動いて行けばわかります。 理屈じゃなく感覚で。
1.5や0.5が多いのはわかった。
それでは、普通に考えて1回転というのは、どうなの??
はい、前進(トラベリングターン)しながらの1回転というのも当然あります。
ただし、これは1.5回転くらいの勢いでターンしている時に、背中にチェック
(肩や肩甲骨あたりに入るストップさせる動きのこと)が入るなどして、
止められたから、結果的に1回転になる・というのが本来的なやり方です。
でも、実際は定石と言いますか、みんな良く使っているポピュラーな技みたいなのがあって、
そういうのに慣れてくれば、もう問答無用で1回転というのも結構ありますね。
やっぱその辺は慣れがモノを言うというか、大切だということですね。
整理します。
女性側からすれば、回転量が0.5であろうが 1.5 であろうが、ターンした後は男性の方を向くのが基本。でも1回転のように男性に背を向けて終わるターンもある。 背中(多くは左肩甲骨もしくは左肩)が男性の手でチェックが入り、ストップが掛かったので。
以上、“ 目の前に前進できる空間が出来たら→タイミングをキープしつつトラベリングターン ”
そして “ 回転量はリードに従う ” といった点について説明してみました。
7.トラベリングターンと言っても、カウント7はその場でターン。
サルサで頻繁に出て来る、クロスボディインサイドターン。
アンダーアームターンのような “ その場 ” でのターンではなく
移動(ここでは前進)しながら回転していくターンになります。
すなわち、
トラベリングターンの典型 。
回転量は1.5回転ですが、(かつインサイドターンなので左回転)
初心・初級者さんの中には、どうしてもふらついてしまう、
あるいは最終的に吹っ飛んでしまう人が出て来ます。
まあ、あたりまえと言えば当たり前の話で、
日常生活で1.5回転のレフトターンなんてしないもんね~(笑)
これを防止するためには、
姿勢、特にひざの適切な曲げや頭部の適切な位置と頭頂の角度のチェック
それから目線の方向の設定、そして気持ち的にあせらないこと、
などが必要かと思いますが
カウント的にターンの構造を分解し理解しておくと、
上手くいくかもしれません。
すなわち、
カウント5は素直に前進、そして回転開始の6でも前進しますが、
カウント7からはその場・だということがわかってしまえばしめたもの。
・・なんですね。
全体としては、トラベリングターンであることには間違いありません。
しかし、カウント7においては違う。
乗り込んだ左足を軸に “ その場でターン ” です。
カウント7は左足に乗り込むんです。
この感覚がわからず吹っ飛んでいく人は
おそらく、5 → 6と前進してきた流れのまま7でも前進しようとする
(前進する動きを止めない)ため、
リーダーの前から離れて行く、吹っ飛んでしまうケースがほとんどだと見ています。
したがって、
このカウント7(ターンの最終ステップカウント)で
左足に乗り込む感覚を身に付ければ
吹っ飛んでしまうことは無くなるんじゃないかと・・
そう考えます。
上の “ 女性が守るべき5つの点 ” 、そのピンクの5番のところで
“一曲通してスムーズに踊れるようになることを最初の目標とすれば、男はかなり大変で、女は比較的容易。
女性ならば、比較的早い段階でソーシャルダンスを楽しめるようになると思います。”
と書きました。
ただ、女性に技術的な壁が無いかと言えば、そんなことは全くなく、
一番の壁はこの1.5回転のトラベリングターンがスムーズに出来るかどうかでしょうね。
自在に楽しめる段階へ行けるかどうかはここにかかっている、そんな気がします。
なので、少し時間をかけて練習してみましょう。
最初は速いスピードで回る必要は全く無くて、(決して強引に回ってはいけない)
少し遅いかな・くらいのスピードで、安定度重視で回ってみることをお勧めします。
当道場でもここはポイントだと考えているので、レッスンできちんと押さえて行きたいです。
《まとめ》
★女性がサルサを踊る時に大切な(守るべき)5つの点
1.勝手に動かない。
2.リラックスする。力まない。
3.(女性も)安全に配慮する。
4.楽しみに来てるんだから、楽しんでいこう!
5.ぶっきらぼうな態度は嫌われる。
★技術的に理解しておいた方が良い7つの点
1.リズムをキープし、足を止めない。 リードの力の方向に従って動く。
初見の技・リードが来ても、高確率でベーシックステップを続けるのが正解。
2.テンションが切れないように心掛ける。
3.ドロップされたらストンと落とす。
4.コーミングは、変に引っ張らない、抵抗しない。
5.リーダーが取りやすい手の位置というのがあって、そこは意識しよう。
6.CBL(クロスボディリード)などで、目の前に前進できる空間が開かれたら、
次は回転、トラベリングターン。(回転量はリードに従う。)
7.トラベリングターンと言っても、カウント7はその場でターン。
以上です。
・・ シンプルにまとめようと思ったが・・ うーん。 やっぱこれくらいのボリュームにはなってしまいますね。(^_^;)
まあ、ダンスというのは奥が深いので、しょうがないか。(笑)