Ⅰ.サルサダンスとは

 

突っ込んだ解説をすると相当な分量になってしまうので、
ここではビギナーにとって必要な点のみ、書きます。

サルサダンスは基本的にペア、すなわち二人で踊るダンスです。
日本においてはこの “ ペアダンス ” という言葉が使われる事が多いですが、海外では

“ パートナーダンス ” と呼ばれます。
文字通り、男女が二人で組になって踊るダンスです。
(ショーなどでは群舞などもありますが、ここではソーシャルダンス、すなわち

オーディエンス(観客)を想定せずに自らの楽しみのために踊る、

そんなケースについて説明しています。)

〇〇ダンスという言葉が沢山出て来て混乱しそうですが、

主にスタイルを表すのに  “ ペアダンス ”    “ パートナーダンス ” といった言葉があり、

目的を表すために “ ソーシャルダンス ” とか  “ パーティダンス ” という言葉がある。

そんな把握で良いと思います。

今、男女と書きましたけれど

ダンスフロアでは女女で踊っていることも時々あり、男男はかなり少ないですが

余興(笑)としてあります。
つまり、基本はあくまでも男女・なんですね。
この辺はヨーロッパに端を発したパートナーダンスの文化を継承していると言えます。
したがって、誘う時は男性からです。それが原則。

(舞踏会で貴族や騎士などが、貴婦人らを誘っていたように。)
最近ということであれば・・ 女性から男性に声を掛ける様子も稀に目にしますね。
知り合いのケース以外でも。
サルサはカジュアルでとても自由なダンスなので、また個々のやり方も非常に尊重しますから
悪くはないです。
ただし、原則はやはり “ 男→女 ” で誘うという点は覚えておいてください。

と言いますか、そのダンスフロアでどのように誘っているのかをよく観察して

自分もそのやり方に従うのが望ましいでしょう。
「原則」 というものが完全に無くなると、どんな弊害が出て来るかはいずれまた書きたいと思います。

実を言うと、弊害は結構出ます。)


サルサダンスにはいくつかのスタイルが存在します。
その中で世界中に広がりを持つことに成功し、よく踊られているスタイルは3つ。
ON1(オンワン)ON2(オンツー)、そしてキューバン
この3つです。
この内、ON1とON2はソーシャルにおいてほぼ100%ペアで踊りますが、キューバンの場合はちょっと違っていて、ペアの他に  “ スエルタ ”  という一人で踊るスタイル、そして  ルエダ ”  という大人数で輪になって踊る形式もあります。
(ルエダは結構人気がありますね。)

今回、我々が身に付けようとしているスタイルは “ ON1 ” です。

(東京のサルサシーンにおいてON1で踊ることが出来れば

速攻楽しむことが出来ますから。 また海外の多くの都市においても同様。)
ですので、ペアで踊ることにのみに集中すればよいわけですが・・


あらためて “ ペアで踊ること ” そして “ ソーシャルで踊ること ” を
考えてみると、実はマジックのようなことを自然にやってのけていることがわかります。
初めて会った相手と、

事前振付なしの完全即興で
5分前後を極めてスピーディーに踊り切る。 のですから。


初めてソーシャルのサルサを見た人は、おそらく、

“ 何かの振付を事前に打ち合わせているのではないか、そうでなければこんな風に踊れるはずがない。”
そう思う人はかなりいると思います。 (僕もそうでした。)

でも実際は、完全にその場の音楽に乗り、即興で踊っているのです。
(ダンスをリードする男性があらかじめ思い描いているパターンみたいなもの

あるいは、ダンサーとして得意とするパターンなどは実際あったりもしますが、

全体の詳細なプログラムがある訳ではありません。
基本的にはやはりぶっつけ本番です。瞬間瞬間で判断してリードしています。)

この、“ 初めて会った相手と即興でスピーディに踊り切る ”ことを可能にしているサルサダンス、
その基盤となる一番大切なもの、
それが “ ベーシックステップ ” だと言えます。

お互いが息を合わせ、クラッシュせず楽しく踊るために最も必要なもの、
それがベーシックステップ。
男が前進すれば女は下がる、女が前進すれば男は下がる、
お互い寄せては返す大小の波のように動く、
それがベーシックステップ。
エレガントさやラテンっぽさを出すための
最も土台となる大切な動き、
それがベーシックステッブ。

ベーシックステップはある程度ステップが出来るようになったら卒業・・

そういう種類のものではないですね。

少なくとも上級になるまではずーっと修正とブラッシュアップが必要なものです。
とにかく磨くことが必要。
例えるなら、野球の素振りやスローイングのチェック、
サッカーのドリブルやトラップみたいなもんですね。
といいますか、ずっとやり込むべき 奥が深いものだと言えますね。

ということで本サイトではこのベーシックステップにスポットを当て、見て行こうと思います。


さて、ステップの解説に入る前に外せない点が一つあるので、まずはそこから見ておきましょう。
それはもちろん、『サルサミュージック』 に関してです。

・・サルサダンスはサルサの音楽に乗って、踊ります。
一般的なポップスとかで踊ることも普通に出来たりしますが

(その場合、合う曲と合わない曲はやはりあるのですが)
ノリを考えれば、やはりサルサ音楽が抜群にフィットします。
歴史的にも、サルサを含むラテン音楽はダンスとのつながりが極めて密接で、

二つは引き離すことが難しいものだと言えます。

では、サルサミュージックとは一体どんなものか、聴いてみた方が早いので、

まずは何曲か
“ 聴き比べて ” みましょう。